top of page

2025年11月7日

コラム

廃校利用の成功事例10選!面白いアイデアで地域を活性化!

少子化や都市部への人口集中などを背景に、全国で廃校が増加しています。しかし、使われなくなった学校は、地域の歴史や人々の思いが詰まった貴重な資源です。


この記事では、廃校が見事に生まれ変わった成功事例を用途別に紹介します。さらに、廃校活用をビジネスとして成功させるためのポイントや、費用、補助金といった実用的な情報も解説します。


廃校利用に関心のある自治体担当者や起業家の方々にとって、新たな価値を創造するヒントになれば幸いです。


廃校利用の成功事例10選

ree

全国には、廃校をユニークなアイデアで再生させ、地域に新たな賑わいを生み出している事例が数多く存在します。


ここでは、宿泊施設からオフィス、さらには水族館まで、多様な形で生まれ変わった10の成功事例を紹介します。


【宿泊施設】になった廃校利用の成功事例

宿泊施設として生まれ変わった事例として、旧湯日小学校、旧出合小学校を紹介します。



【旧湯日小学校(静岡県島田市)|グランピング施設】

2021年3月に閉校した旧湯日小学校は、校庭に21棟のテントを配置したグランピング施設「Glamping&Port結」として生まれ変わりました。


体育館やプール、家庭科室といった学校ならではの設備をそのまま活用し、懐かしい雰囲気の中でアウトドア体験が楽しめる施設として人気を集めています。



【旧出合小学校(徳島県三好市)|カフェ&ホステル】

徳島県の山間部に位置する旧出合小学校は、カフェとホステルを兼ね備えた「ハレとケ珈琲」として再生されました。

教室だった空間を活かしたカフェでは、自家焙煎のコーヒーや手ごねのピザを味わえます。


【飲食店・商業施設】になった廃校利用の成功事例


飲食店や商業施設として利用している例を紹介します。



【旧菅守小学校(愛知県新城市)|レストラン】

愛知県新城市の旧菅守小学校は、ランチルームを改装した「つくで田舎レストランすがもり」に姿を変えました。木のぬくもりが感じられる懐かしい空間で、地元の食材を活かした田舎料理やジビエ料理を提供しています。



【旧保田小学校(千葉県鋸南町)|都市交流施設・道の駅】

千葉県鋸南町の旧保田小学校は、体育館をマルシェに、教室を宿泊施設や温浴施設に改修し、「道の駅保田小学校」として大きな成功を収めています。飲食店や直売所も併設され、多くの観光客で賑わう地域の拠点となっています。


【体験・観光施設】になった廃校利用の成功事例


体験・観光施設として成功している事例もあります。



【旧椎名小学校(高知県室戸市)|水族館】

全国的にも珍しい事例として注目されるのが、旧椎名小学校を改装した「むろと廃校水族館」です。屋外プールを巨大な水槽として活用し、地元の定置網にかかったウミガメや魚などを展示しています。

学校ならではの備品を活かしたユニークな展示方法が話題を呼んでいます。



【旧中六人部小学校(京都府福知山市)|いちご農園・農業体験型施設】

京都府福知山市の旧中六人部小学校は、「THE 610 BASE(ムトベース)」という農業体験ができる施設に生まれ変わりました。


校庭だった場所には大きないちごハウスが整備され、天候を気にすることなくいちご摘み体験ができます。校舎はカフェやワークショップスペースとしてリノベーションされており、地元の食材を使ったメニューやさまざまな体験プログラムを提供しています。


【オフィス・工場】になった廃校利用の成功事例

オフィスや工場として生まれ変わった代表的な事例としては、以下の2校があります。



【旧大鰐第小学校(青森県大鰐町)|生ハム工房】

青森県大鰐町では、廃校となった旧大鰐第三小学校の校舎が「おおわに自然村生ハム工房」として再生されています。


ここで作られた生ハムは「あおもり生ハム」として、東京や大阪のホテル・レストランなどへ出荷されており、地域の新たな特産品となっています。食料資源の有効活用から始まったこの取り組みとしても注目されている事例です。


【旧耳成高等学校(奈良県橿原市)|県の庁舎】

旧奈良県立耳成高等学校の校舎は、耐震化などの改修を経て「奈良県橿原総合庁舎」として再生し、地域の行政サービスの中核を担う施設として生まれ変わりました。


さらに、庁舎の屋上は「屋上庭園」として一般に無料開放されており、大和三山など万葉の風景を一望できる展望スポットとして、地域住民や観光客に親しまれています。行政機能だけでなく、憩いの場としての付加価値も生み出している点が、この事例の大きな特徴です。


【その他】ユニークな廃校利用の成功事例


その他、アイデア豊かな利用事例を紹介します。



【旧谷口小学校(富山県立山町)|IT交流施設】

富山県立山町の旧谷口小学校は、IT交流施設「谷口集学校」として新たなスタートを切りました。Wi-Fi環境を完備し、パソコンやスマートフォンの相談窓口を設けるほか、子どもが遊べる屋内アスレチックやリモートワークスペースなどを提供し、多世代が集う地域の拠点を目指しています。



【旧越中畑小学校(岩手県西和賀町)|介護施設】

岩手県西和賀町に位置する旧越中畑小学校は、地域に根差した介護施設「小規模多機能ホーム つばきの郷」として生まれ変わりました。デイサービス・ショートステイ・訪問介護を提供する小規模多機能型居宅介護施設として機能しています。地域福祉に貢献している貴重な事例です。


廃校利用ビジネスの成功確率を高める3つのポイント

ree

廃校活用は地域活性化の起爆剤となる可能性を秘めていますが、事業として成功させるためにはいくつかの重要なポイントがあります。


ここでは、成功確率を高めるための3つの要点を解説します。


事業の継続性を見据えた計画を立てる


廃校活用を成功させるためには、一時的なイベントで終わらせない、持続可能なビジネスモデルの構築が不可欠です。具体的な収支計画を立て、長期的な視点で事業の採算性を慎重に見極める必要があります。施設の魅力だけで集客できると安易に考えず、市場調査に基づいた具体的なマーケティング戦略を立てることが重要です。



また、初期の改修費用だけでなく、事業開始後の光熱費や修繕費といった維持管理費も正確に見積もり、資金計画に織り込むことが求められます。


地域住民との良好な関係を築く


廃校は、卒業生や地域住民にとって思い出の詰まった大切な場所です。そのため、事業を始めるにあたっては、地域との強固なパートナーシップを築くことが重要です。


事業計画の段階から住民説明会などを開催し、地域の文化や歴史、住民のニーズを深く理解し、事業内容に反映させることが求められます。地域住民をスタッフとして雇用したり、地域のイベントに積極的に協力したりするなど、地域社会の一員として受け入れられる努力も必要でしょう。


建物の状態とインフラを確認する


廃校施設は建設から数十年が経過していることが多く、建物の状態を正確に把握することが重要です。外観だけでなく、耐震基準を満たしているか、雨漏りや構造体の劣化はないかなど、専門家による詳細な診断が欠かせません。


また、電気、ガス、上下水道、通信回線といったインフラの状況も確認しておきましょう。現代のビジネスに必要な電気容量や高速インターネット環境が整っているかは、事業内容によっては死活問題となります。


廃校利用の事例に関するよくある質問(FAQ)

ree

廃校利用に関してよくある質問をまとめました。


廃校活用の費用はどれくらい?

廃校活用の費用は、建物の規模や老朽化の度合い、そしてどのような用途に改修するかによって大きく変動します。そのため、一概に「いくら」とは言えませんが、一般的には数百万から数千万円規模の費用がかかるケースが多いです。


主な内訳としては、耐震補強工事、内装・外装の改修、設備の導入費用などが挙げられます。アスベスト除去が必要な場合は、さらに追加の費用が発生することもあります。


廃校利用で活用できる補助金・助成金制度は?

国や地方自治体は、廃校の有効活用を促進するためにさまざまな補助金・助成金制度を用意しています。文部科学省では「~未来につなごう~『みんなの廃校』プロジェクト」を推進し、情報提供やマッチング支援を行っています。


参考:文部科学省「~未来につなごう~『みんなの廃校』プロジェクト」


また、国土交通省の社会資本整備総合交付金や内閣府の地方創生推進交付金などが活用できる場合もあります。地方自治体によっては独自の支援制度を設けていることも多いため、活用を検討している地域の自治体に問い合わせることが重要です。


参考:国土交通省「社会資本整備総合交付金等について」

   内閣府「地方創生推進交付金(まち・ひと・しごと創生交付金)」


廃校活用ビジネスで失敗しやすい要因は?

廃校活用ビジネスが失敗に至る主な要因として、地域ニーズとのミスマッチが挙げられます。事業者のアイデアが先行し、その地域の特性や住民が本当に求めているものを理解せずに計画を進めてしまうと、地域社会から受け入れられず孤立してしまうことがあります。


また、資金計画の甘さも失敗の大きな原因です。初期の改修費用だけでなく、事業を開始してからの光熱費や人件費、突発的な修繕費といった維持管理コストを過小に見積もってしまうケースが少なくありません。老朽化した校舎では想定外の出費が発生しやすく、資金繰りの悪化を招くことになります。


地域住民との関係構築を軽視することも失敗につながるでしょう。地域住民の感情を無視して事業を進めると、住民の理解や協力が得られず、円滑な運営が困難になる可能性があります。


廃校利用の成功事例をヒントに、新たな価値を創造しよう 

この記事では、宿泊施設や飲食店、水族館、オフィスなど、多様な形で生まれ変わった廃校の成功事例を紹介しました。これらの事例に共通するのは、単に建物を再利用するだけでなく、学校という場所が持つ歴史や特性を活かし、地域に新たな交流や雇用を生み出している点です。


廃校活用を成功させるためには、事業の継続性を見据えた綿密な計画、地域住民との良好な関係構築、そして建物の状態やインフラの正確な把握が不可欠です。本記事で紹介した事例やポイントをヒントに、地域の貴重な資源である廃校を活用し、新たな価値を創造する一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

廃校利用の成功事例10選!面白いアイデアで地域を活性化!

© General Incorporated Association Okaeri Shugakko.

bottom of page